この本を読もうと思った最初のきっかけは、2014ブラジルワールドカップでの日本の敗戦に納得がいかなくて、こういった結果をジャーナリストはどういう受け止め方をしているだろうと思ったことです。
サッカーは一億総評論家と言っても過言でないほど、私のような素人がドヤ顔で持論を展開しています。
それはそれで会社の飲み会の席なんかでは盛り上がるんですが、もう少し掘り下げたいなと思いまして……。というわけで読んだ感想です。
内容紹介
全国民の絶大な期待を背負ってブラジルW杯に臨みながら、グループリーグ敗退に終わったサッカー日本代表。「自分たちのサッカー」に殉じようとした彼らは、何に挫折したのか? 一時の低迷から再生を果たして王座に還り着いたドイツが体現するサッカーの未来像とは? ブラジル、スペインが陥った陥穽、アルゼンチン、オランダが見せた矜持、天才プレーヤーたちの真価……。サッカー界最強の論客コンビがどこよりも深く詳しく熱戦の真髄を読み解く、2014FIFAワールドカップ同時進行ディスカッション!
引用元:イースト・プレス
この中から私自身が各試合のキーポイントであったと勝手に思っていたところについて、本書でどのように触れらているかをご紹介します。
後半9分、なぜ遠藤を入れたのか(VSコートジボワール)
私としてはあの場面、日本代表が1点リードしているし、まだそれほど押されている感じではないと思っていたので、選手交代については相手の出方を見てから、つまり受け身になっても良かったのではないかと思いました。
と偉そうに申しておりますが、私自身はコーチのライセンスなども持っていない俄サッカー好きです。
それについては本書では以下のように記されています。
湯浅 もうちょっと物理的なものだったんじゃないかなあ。長谷部がプレーを続けられない状況に陥ったとか。
後藤 長谷部が90分できる状況でないことは、ぼくも知っています。いずれ交代はあったでしょう。でも、なぜあの後半9分というタイミングだったのか。後半開始からの9分間、日本は攻めていました。前半はずっと押し込まれていたのに、後半が始まって日本は攻めた。そこで、ザッケローニは遠藤を入れたわけです。つまりあれは、これなら2点目が狙えると思って遠藤を入れたわけでしょう。でもその判断というのは、どうなのか?
ちなみにザッケローニ監督は試合後の会見でこう語っていました。
――メンバー交代について。遠藤(保仁)投入の意図は?
交代は試合前から決めていた。長谷部(誠)を最大限にプレーさせ、遠藤にもプレーさせたかった。遠藤は、30〜35分与えることができれば、集中的なプレーを期待できる。彼の責任ではなく、皆がそれぞれスペースを確保してプレーすべきだった。引用元:ザック「大切なのは今後何をするかだ」|コラム|サッカー|スポーツナビ
つまりあの交代は最初から決まっていたわけです。
試合の流れからすると少し不可解に感じても仕方ないのかもと思いました。
この交代が敗戦に繋がった直接の原因ではないのかもしれませんが、長谷部が90分プレーできるコンディションであれば、あの交代はなかったのかもしれません。
引き出しのなかった日本代表(VSギリシャ)
湯浅 そうかもしれないけど、サッカーって1人でも動きを止めると全員が止まってしまうじゃない。本物のチームスポーツということの証明なんだけど、誰もトライしないし、1人がトライしないと全員がトライしなくなって横パスをぐるぐる回すだけになるとか、心理的な悪魔のサイクルにはまったね。
後藤 心理的と言うと終わっちゃうから、そういう時にどうするかということを準備しておけばね。引き出しを作っておけばよかったけど、それがなかったよね。
ギリシャに退場者が出た時に私自身は逆にこれでやりにくくなるのではないかと思いました。
この時点でギリシャはがちがちに引いてくることが目に見えていましたから。
それはピッチで戦っていた日本代表の選手もそう思っていたと思います。
(前半は悪くなかったが?)勝てなかった要因はさまざまあると思いますけど、まず1つは前半の11対11の時に自分たちがチャンスを作っている中で決めきれなかったこと。やっていても、見ているときでも11対11でやっていたときの方がウチとしてはやりやすかった部分があっました。相手が10人になって完全に守る形になってからの方が難しくなってしまったのは事実です。(長谷部誠・試合後コメント)
引用元:大久保「最後の最後でバウンドが浮いて」|コラム|サッカー|スポーツナビ
この試合では交代枠を1枚残したまま試合終了を迎えたわけですが、それについては触れられていませんでした。残念。
今野のタックルについて(VSコロンビア)
あのタックルは個人的にむちゃくちゃがっかりでして、テレビで観る限り明らかに間に合ってなかったですから。軽率すぎるって思っていました。
後藤 そうそう、どうしても勝たなきゃいけない試合でね。今野が取られたPKは、反則ではあったかもしれないけれど、あそこでタックルに行ったのは間違いじゃなかった。良いタックルだと思うけど、ツキもあらゆる意味でなかったね。
湯浅 今野のあのタックルは、今野自身は絶対にボールに触れると確信して飛び込んだんだよね。彼自身も言ってるけど。でも、後でビデオを見ると、完璧に届いていない。10センチくらいボールに届いていないんですよ。で、相手の足を引っかけているから完璧にファウルなんだけど、あの違い、つまりボールが取れるという確信を持っても結局取れない。その判断の基準が世界との微妙な差を象徴していると思うけれど、どう思いますか?
どうやらあの場面はタックルしても仕方ないとの判断だそうです。そういうもんなんですかね。
この後、「個の力」について話が流れていきます。他にも『「守りの文化」と「走る文化」』の話は個人的におもしろいなと思いました。
まとめ
サッカーの歴史を遡りながら現代サッカーを語っているのは、自分にない視点、知識なのでおもしろかった。サッカー好きであればさらっと読めると思います。