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今回紹介する本は『深読みサッカー論』です。これはサッカー解説でおなじみ山本昌邦氏の著作です。
私は山本氏の育成に対する考え方はけっこう好きです。
監督としての手腕はどうなのかわかりませんが、解説は根拠のあるデータをよく並べているので面白いなと思います。
リスタートからゴールまでの平均秒数とか世界のゴールの9割はボールを奪ってから何秒以内で入る話とか面白いです。
そんな山本氏の本ですので、楽しみながら読むことができました。
内容紹介
勝敗は試合の前に決まっている―。経験豊富な解説者と記者による本音のサッカー対談。「国際大会でチームはどうマネジメントするのか」「あの選手、あの監督の真の実力とは」「プロだから語れる技術論、戦術論」など、ユニークかつ深奥い視点で、サッカー観戦が10倍面白くなる一冊。
引用元:『深読みサッカー論 (日経プレミアシリーズ) 』裏表紙
2014ブラジルワールドカップ前に刊行されました
W杯に関することばかりではなくサッカーを大局的な視点で見て、さらに観戦を楽しもうといった本です。
この中で自分が特に興味を持ったところを紹介します。
ドイツ代表について
ブラジル大会ではドイツの前評判は非常に高かったと思います。
もちろん山本氏もドイツを高く評価しており、そのドイツについてこのように語っております。
山本 ドイツ人って一人ひとりがメンタル的に強いから、タフな環境にも強い。流れを変えられる選手も何人かいるし、何よりもチームが成熟しているから隙がないし、交代のカードがことごとくいい仕事をします 。
山本 勝負所で強いというのは、交代のカードで入ってきた選手が、みんなものすごく仕事をするからなんですね。疲れた相手の弱いところをどんどん突くし、自分たちがちょっと苦しくなったときに、疲れた仲間をしっかりカバーできる。そういう力があります。
特に「修正能力」「試合の分析力」と言う部分を評価しています。試合中にそれを戦術に落とし込むことができるというのが、監督一人の力ではなくチームとして成り立っているからドイツは強いと。
その言葉通り、アルゼンチンとの決勝では交代で入ったアンドレ・シュールレのクロスを同じく交代で入ったマリオ・ゲッツェが決めました。
子どものうちは局面の1対1は絶対に負けるな、勝負しろ、ボールを取りに行け
山本 たとえば、守備についても、いまの日本の指導の現場では子どものころに「最初から飛び込むな」なんていう指導をしているのを見かけることが多いのですが、飛び込ませればいいんですよ。飛び込んできたディフェンスをどうかわすかという能力もストライカーの側には求められているんですから。「むやみに飛び込むな」なんて指導をしていたら、それを鍛える場もなくなってしまいます。
山本 ところが、最初から大人が答えを教えるようなやり方で「飛び込まずに相手の攻めを遅らせろ」などと教え込む。これではいけない。自分で気付くことが大切なんですから。なぜかというと、飛び込んだほうがいい局面もあるからです。
この話はストライカーの育成の話につながるわけですが、ぎりぎりのところで何をどう学ぶかで、すごい才能が育つというように考えています。
確かに攻撃も守備も自分と相手の間合いを体感して知るというのは大切だと思う。
この距離ならボールを取れるとか、この距離なら足が届くとか。
始めから遅らせることありきで守備に入れば、取れるボールも取れなくなります。
10年後に今回U-17で使われたセンターバックが日本代表になれるかどうか検証したい
山本 あとはセンターバックですが、高さと強さ、サイズは絶対に必要だと思うんです。その点で言うと、先日、日本サッカー協会のS級指導者のリフレッシュ研修会があって、2013年のU17ワールドカップを戦った吉武博文監督が講師を務めたんですね。その研修会で秋田豊という元日本代表が手を挙げて、吉武監督に質問をしたんですよ。U17の日本代表のセンターバックは身長が180センチもない。2人とも175センチくらいで。これで将来、日本代表のセンターバックになれるんですか、世界で戦えるんですかって。
山本 吉武監督の考えが、いいのかどうかはわからないし、正解もない。また本当に高さのある選手がいなかったということもありえる。ただし、10年後に今回U17で使われたセンターバックが日本代表に選ばれるかどうかはきちんと検証したいんですね。
これについては本当にそうだなと。アンダーエイジではもちろん勝つことも重要だが、やはり育成がメインだと思う。
勝ちながら育てるというのは非常にハードだけど上の世代、いずれはフル代表に繋がるようにしていってほしい。
その他
高校サッカー、大学サッカー、ユースについての話はおもしろかった。日本のそういう環境が非常に特殊であること。
国体の参加資格を16歳以下にしたことでのメリット・デメリットなど。
まとめ
山本氏の育成にかける思いは熱いです。
この本を読んで、また山本氏に育成世代の監督・コーチを務めてほしいなと思った。私みたいなサッカー素人でも楽しく読めました。